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サマーデイクライン(夏場の落ち込み)

昨年の夏は異常高温により全国的にゴルフ場の芝がダメージを受けました。
夏場は芝にとって非常に厳し時期であり、コース管理者は無事に夏越しをさせることを最重要課題としております。
特に北海道の芝は寒冷地仕様であり、昨今の異常高温は死活問題であります。

洋芝(寒冷地)は気温の上昇によりどのような影響を受けるのかを簡単に説明させていただきます。
芝は通常、光合成により炭水化物を生産し根や葉を成長させ余剰分は貯蔵養分として蓄えられます。
この貯蔵養分が厳しい夏越しへの原動力となるのです。

夏季の高温時は、光合成機能が低下し、発根機能も低下し呼吸が増大します。結果的に養分を作ることが出来ず貯蔵養分を消費して生き延びていることになります。
夏枯れとは、貯蔵養分を使い切った芝が暑さに耐えられず死んでいくことです。
このような夏場において芝の状態を落とすことを「サマーデイクライン」と言います。

ここで地温による芝への影響をお話しします。
地温27℃以上 ⇒ 新しい根が発生せず、生育した根が衰退します。
地温30℃以上 ⇒ 上記の衰退がより進展します。
地温35℃以上 ⇒ 機能不全となり危険水域。

昨年は夏日が観測史上初の44日連続となり、夜間の最低気温も25℃以上の日が10日以上ありました。
このような状態を見られた通り、昨年は非常に危険な日が続いたことを物語っております。

それではこのサマーデイクラインへの対策として何が必要かと申しますと。
先ずは暑い夏を迎える前に体力(養分)を極力備蓄させることです。
そのためには、芝が活動する5月~6月に芝の環境を改善(更新作業等)し光合成への効率を高めることです。
また、芝へのストレスを考えた管理も必要です。芝を短く刈ることは芝にとって非常にストレスとなります。体力に見合った管理が必要ということです。
暑い夏を乗り切るには、暑さで体力を消耗する時に芝を短く刈ることはご法度ということです。

みなさまが感じられている通り、夏場にグリーンスピードが落ちるのは、ストレスを回避するため敢えて低く刈らないからであります。
コース管理は、芝の状態を見ながら刈り高を調整しておりますので、このような事情があるということをご理解いただきたいと思います。