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<芝の状況③>土壌環境改善の必要性

今回、当コースは猛暑による大きなダメージを受けましたが、原因を分析したところ芝を生育する土壌に大きな問題があることが判明しました。
枯れた要因には、➀刈り込みを急いだこと➁猛暑による抵抗力の喪失(乾燥害、病気感染など)が挙げられますが、枯れ死した部分の土壌を分析して当コースの弱点が浮かび上がりました。

1.芝の床が浅い(コースの一部)
  表土から地下の岩盤までの厚さが薄い所が散見されました。今回、枯れた部分の土壌を確認
  したところ岩盤で水が浸透できず留まり、多量の雨が降ると熟んだ状態になります。
2.マット部分が多い
  地表に近い部分に根の死骸や芝の刈りカスが堆積し「マット」(スポンジ状態)ができ、
  水の浸透を妨げると同時に根を伸ばすことを阻害しております。
3.ブラックレイヤーの形成
  床土の排水不良により土中に水が溜まることにより酸素不足に陥り、嫌気性細菌が増え
  黒灰色の還元層(せんべいのような黒い塊)を形成し、水の浸透や根の伸長を止めます。

今般の猛暑被害を受けた部分の多くは、上記3点によるものが多く、水はけが悪い状態で地表や地中の水が高温に熱され煮えたような状態になり芝を枯らしてしまいました。

植物の生育環境として適性な土の状態を「三相分布」で表現しております。
固相(土)50%、気相(空間)25%、液相(水)25%を理想としておりますが、今回枯れ死した部分の地中は気相が0%に近い状態でした。上記のマットやブラックレイヤーの上の部分は水分の飽和状態ですが、その下は水分のない状態(浸透を妨げている)になっておりました。

<土壌環境の改善>
グリーンは毎年更新作業を行い、土中に穴をあけ砂をいれて「三相分布」の理想値を追求しておりますが、フェアウェイやラフにつきましては面積も大きく更新作業は殆どやっておりませんでした。
今夏のような高温が将来的に続くことが予想されており、土壌の環境改善は積極的に実施していく必要性を痛感しております。
改善を要する部分は今年の枯れ死した箇所であり、今回、当コースの弱点箇所が明確になりましたので、先ずはこの問題個所を今年度中に改善施工すべくスケジュールを組んでおります。
暑さに耐えれる土壌環境つくりに精一杯取り組んで参る所存です。

<浸透性が悪く水溜まりになった部分>

<正常な土壌:根がしっかり伸びており土が付いている>

<マット層が根を止めており土が付いてこない>

<真ん中の黒い煎餅状のものがブラックレイヤー:水も根も遮断>